結局。6畳ほどの和室の座卓で、私とお姉さまが向かい合って座った。
そして生田は……。壁にもたれて、ただ私たちの様子を観察している。そんな状況になっていた。
「――だいたいさ、男ってなんなの。勝手に私に一目惚れして、何が何でも手に入れたいってわめいてさ。それで結婚したのに。私を好きだっつったのはそっちだってーの。それなのに、あいつなんて言ったと思う?」
美しい顔が、お酒のせいで赤みを帯びて。目はとろんとしている。呂律もところどころあやしい。
「『君みたいな完璧な美しさを見続けているのに疲れたんだ。僕には荷が重すぎた』だってよ。ばかじゃないの? そんなの最初から分かってたことじゃない。そんな私がいいって言ったんじゃないの。それで結婚して1年足らずで、他の女に走った。一緒にいると癒されるんだって……」
怒りを露わにしながら喋り続けていたのに、語尾の方は、弱々しい声になって行く。
そこには涙が混じり始めた。
「だから、別れてくれ、だって。どうして? 私が何をした?私は頑張ったの。『君は素敵だ』って言ってくれたあの人の私のイメージを壊さないように。一生懸命頑張った。私だって、安らぎなんかなかったよ。それでもあの人と一緒にいるために、頑張り続けた……」
お姉さんが突っ伏した。泣いてる。また、肩が震えている。



