こうして、生田家4人と私の宴会が始まった。
始まったのだけれど、私の斜め隣に座っているお姉さまは、ただもくもくと日本酒を飲んでいる。というかあおるように飲んでいた。
「だいたい、一家の嫁が、年末年始に一人で実家に帰って来るなんてこと許されるのか?旦那を一人にしていいのか?」
「……今、一番話題にしたくないこと言ったね?」
手にしていたグラスをどんとテーブルに叩きつけるように置くと、お姉さまは生田を鋭く睨みつけた。お姉さまが日本酒をグラスで飲んでいたということに気付く。
「当たり前のことを聞いただけだろ?」
「ま、眞っ。今、その話題は禁句なのよ」
「は? 禁句ってなんだよ」
急に、お父様とお母様がそわそわとしだした。お姉さま、ご結婚されていたんだ。まあ、これほどの美しさだ。男は放っておかないだろう。
「あんた、自分が幸せだからってね、調子にのってんじゃないわよっ!」
お姉さま、急に立ち上がった。両手をテーブルにつき、すさまじい叫び声が轟く。
「察しなさいよ。その無駄に高いIQで想像しなさいよ! 人妻が一人で実家に帰ってきていることの意味を!」
まるで火を噴くように叫んだかと思うと、今度は泣き崩れた。
「お、お姉さん……っ、大丈夫ですか!」
私は思わず椅子から立ち上がり、床に崩れ落ちたお姉さんの傍にしゃがみ込む。
「な、なんだよ……」
生田ですら、そんなお姉さんの姿に唖然としていた。



