蒼太の整った顔が離れていって、変な声をあげてしまった。
な、何……?何が起きたの?
状況についていけてない私の肩に、蒼太の茶色い頭が乗っかった。
「……お前、なんで着替えねぇんだよ」
「え……?」
蒼太の言うとおり、私はまだ薄いピンク色のウサギの衣装を着ていた。
なんだか、着替えてる時間がもったいなくて。
でも、さっきまでなんにも言わなかったのに、いきなりどうしたの?
私が首を傾げると、蒼太は溜め息をついた。
「色んなやつが、お前のこと見てた。……ムカつく、見てんじゃねぇし」
「えっ?見られてた?」
全然気付かなかった。
……というか、それは……
「や、やきもち?」
「そうだよ」
悪いかよ、って不貞腐れたような声に、私は口元を押さえてバタバタ足をばたつかせた。
や、やきもちって!
蒼太がやきもち焼いてくれるなんて!
嬉しい!
「蒼太大好き!」
感極まって、蒼太に抱き付いた。
「……誘ってんの?」
「んぇ?……っん!」
抱き抱えた蒼太の顔を無意識に胸に押し付けていた。
カリッて蒼太が胸に優しく噛み付いてきて、声が漏れてしまった。
「そ、蒼太!鍵は!?」
机に押し倒されて、慌てて肩を押し返しながら聞く。
でも蒼太は顔色ひとつ変えず、
「知らね」
とだけ言って私の首筋に顔を埋めた。
知らね、じゃないよ!
見られたらどうするの!?
ひとり慌てる私の首や鎖骨に、チクッとした軽い痛みが走る。
どどうしよう!


