不埒な専務はおねだーりん


「お前が義理の弟だなんて死んでも嫌だからな……っ!!」

「ハッハッハ。遼平は冗談がキツイな!!仲良くやっていこうじゃないか」

篤典さんに嫌味を言ったところで通じない。

暖簾に腕押し。糠に釘。豆腐にかすがいと言ったところか。

「だから嫌だったんだよ……。お前らがくっつくのは」

「お兄ちゃん……?」

反対していたのはそういう理由だったの!?

私の身を案じてくれたのではなく、我が身可愛さ!?

(ひどい……!!私はすっごく悩んだのに!!)

理不尽だ、横暴だと、常日頃から思っていたけれど、今日という今日は許さないんだから!!

「かずさ、今すぐこいつを返品しろ!!」

「返品不可だよ。ね?かずさ?」

「お兄ちゃんのバカ!!もう知らない!!」

妹の気持ちを踏みにじったお兄ちゃんなんかとはもう口もききたくない。

「っということで、遼平。今日の予定は全部キャンセルしといてくれるかな?僕はかずさを愛でるのに忙しいのでね」

「あっ!!こら!!お前ら、待てや!!」

ハハハと高笑いをしながら走り始める篤典さんにしがみついて愛の逃避行としゃれこむ。

「ごめんねお兄ちゃん!!私、おねだりされると弱いみたいなの!!」

ただし、こちらにいらっしゃる不埒な専務限定だけどね?

「さて、かずさ。君には僕から離れようとするとどういう目に遭うか、一晩かけてたっぷりと教えてあげよう」

「はい……篤典さん……」

お仕置きという名の甘い時間はまだまだ終わりそうにない。


★おわり★