「釣り合わないなんて、そんなバカなことがあるか……!!」
一向に縮まらない距離がじれったくなったのか篤典さんは階段を使い、5階から1階まで一気に駆け下りてきた。
(もう……。やめてよ……!!)
篤典さんは私がどんな思いで辞表を出したのか、ちっとも理解していない。
追いかけてこられたって……再び目の前に立ってもらっても困ってしまう。
「こうして目の前にいる以上、僕達はただの男と女に過ぎないんだ」
息を切らしうっすらと汗をかいている篤典さんは、一層輝きを放っていた。
「僕の傍に一生いてくれないか?」
「な、なんでそういうこと言うんですか……」
どうしたらいいか分からなくなって、じわあっと涙が滲んでくる。
我慢して我慢して。
いつかこの想いが風化してなくなる日がやってくるといいな、なんて絶対に叶いそうもない夢まで描いていたのに。
……全部、台無しだ!!



