「分かった!!遼平に何か言われたんだろう!?」
当たらずとも遠からずだが、いつまでもお兄ちゃんに大事な決断を委ねていると思われているのも心外である。
「違います!!私が!!自分の意思で!!決めたんです!!バカにしないでください!!」
その場に立ち止まり、恥を忍んで張り合うように叫ぶその最中……。
「嘘だね!!だって君はまだ僕を愛しているじゃないか!!」
当然のごとく言い切るその自信は一体どこからくるのか。
(こ、公衆の面前でなんてことを~~!!)
何事かと騒ぎを聞きつけやってきた見物人の好奇な目線にさらされ、私はわなわなと唇を震わせた。
「僕も君を愛している!!世界中の誰よりもだ!!」
情熱的な告白に、見物人から更なるどよめきが起こった。
宇田川タワーヒルズを気さくにねり歩くこともある篤典さんは、テナントの店員やオフィスエリアの従業員にも顔が知られている。
ただでさえ目立つ人なのにビルのど真ん中で愛の告白をしようものなら、注目を浴びて当然である。



