「ごめんね、かずさ」
さすがに反省したのかシュンと眉毛を下げ、何とも言えない悲壮感を演出した。
「……次はありませんからね」
ミエミエの嘘に躍らされていた己の愚かさと騙された憤りで顔をぷうっと膨らませる。
(もうおねだりなんて絶対にきかないんだから……っ!!)
篤典さんってばお兄ちゃんに性格が似てきたんじゃない!?
私は怒り心頭になりながら、お兄ちゃんの使用済みの下着やらタオルやらを八つ当たり気味に紙袋へ詰めこんだ。
看病を放棄しないだけありがたいと思って欲しい。
「どれくらい入院する予定なんだ?」
「大体一カ月だとよ。羽を伸ばすにはちょうどいいくらいだな」
「養生しろよ、遼平」
「どこぞの間抜けが人の手を煩わせるようなことをしなければ、安心して養生できるんだがな」
「やだな~。意地の悪いこと言うなよ~」
お兄ちゃんの強烈な皮肉も篤典さんの手にかかれば、ゆる~いじゃれ合いに早変わりである。
この二人の会話を聞いているといつも冷や冷やするのは私だけ……?



