(まさか、全部の内容を把握しているとは思わないじゃない!?)
……凄すぎっ!!
この人が後継ぎなら宇田川不動産は安泰だと思う一方で、ふざけてばかりいないでもっとその才能を惜しみなく発揮してください!!とも思う。
余計なお世話だよなと思いつつも心配せずにいられないでいると、噂のご本人が執務室からご登場あそばされた。
「あら、専務。どちらに?」
浜井さんが行き先を尋ねると、篤典さんはふふふと悪戯を思いついた子供のように不敵な笑みを浮かべた。
「遼平の見舞いに行ってくるよ。弱っているあいつを見られるまたとない機会だからね。しっかりとこの目に焼き付けてくるよ。かずさ、病室まで案内してくれるかい?」
「はい、ただいま!!」
直々にお供に指名された私は慌ただしく出かける準備を始めたのだった。



