不埒な専務はおねだーりん


「わかった、わかった!!残念だけどポニーテールと眼鏡で手を打つよ。それならいいだろう?」

困り果てた私の様子を見かねて、篤典さんが妥協案を提示してくれる。

「ポニーテールに眼鏡?」

ようやく譲歩できそうな案が出てきたと思ったら、妙な組み合わせである。

「知らないのかい?ポニーテールに眼鏡をかけた女性が職場にいると男性の作業効率が約5パーセントアップするっていう調査結果が発表されているんだよ。一部のオフィスでは既に秘密裏に採用されているという噂も聞いている」

「そんなの聞いたことないですけど……」

「かずさが知らないだけさ」

本当なのか疑わしいけれど、留学経験もある博識な篤典さんが言うのだから本当なのだろう。

「ポニーテールに眼鏡になったら本当に書類を片付けてくれますか?」

ずずいっと顔を篤典さんに近づけ念を押す。

「約束するよ」

「……分かりました」

言質はとりましたからね?

ぜーったい仕事してもらいますからね!?