不埒な専務はおねだーりん


「早速だけど、“これ”履いてくれないかな?」

篤典さんが取り出したのは……新品の網タイツである。それも肌の露出が多い網目が大きめのタイプ。

そんなものが神聖なオフィスで出てきたことにギョッとする。

「ど、どこで買ったんですか?」

「先日、2階にオープンしたランジェリーショップだよ。店員の女性がおすすめだって言うからさ」

なぜ女性物の網タイツを買ったのかは聞かない方が無難なのだろう。

「そんなセクシーなタイツを履いて仕事なんかできませんよ!!」

「えー?似合うと思うんだけどなあ……」

真面目に不真面目なことを言わないでください!!

必死になって抵抗すると篤典さんは気を取り直して、再び引き出しを開けるのだった。

「じゃあ、こっちのガーターベルトならどうかな?」

そう言って見せてきたのは、同じランジェリーショップで買ったと思しき可愛らしいレースがついたガーターベルトとストッキングのセットである。

機能性より艶やかさを重視したデザインに、私の羞恥心は早くも限界をむかえたのだった。

「篤典さんっ!!」

動揺のあまり“専務”ではなく、“篤典さん”と名前で呼んでしまったのは迂闊だった。