2人が帰ってしまい、コイツといても何ともなんないので、私は再び本に目を通す。





「なぁ」





そんな中、アイツが私に声をかけてきた。





「何?」





私は本から目を離さず答える。





「ごめん。いきなり怒鳴ったりして……」






「え?」





私は予想外の答えについアイツの顔を見ると、目があった。





「お前だって、好きでこんな所にいるんじゃないのに……酷いこといってごめん。」





「別に。」





何だか謝られるのに緊張してしまい、私はこんな時でも素直になれず、素っ気なく答えてまった。





「許してくれるか?」





「……許してやるよ。」





素っ気なく答えたのも気にせず、コイツは良かった。と笑っていた。





「じゃあ改めてよろしくな!俺、浜浦大吾!大吾でいいから!えっと、東ちゃんだっけ?」





は?東……?





「南だけど?」





「うぉっ?悪い悪い!よろしくな!南!」





「……ん。」





名前で呼ばれるのが嫌だと言っていた私の気持ちはいつの間にかと消えていた。





「そう言えば、ずっと思ってたんだけど、お前ってずっと1人でいたのか?ここに」





「……まぁね、前はみんないたけど行っちゃった。」




「行っちゃったって?」




どこに?と大吾は言う。





「あの世。」





「は?」





まるで信じられないと訴えるように大吾は首を傾げる。





「ここ、なんていう部屋か知ってる?」





「ひまわり部屋だろ?」





そう、ひまわり部屋。





「ひまわり部屋ってさ、なんであるか知ってる?」





「さぁ?病気が移るから?」





「ううん、ここはね……」






“もうすぐ病気ね死ぬ子供が来るんだよ……”






「は?」






「ここへ来た子は必ず死んでくの。だからみんないなくなっちゃった……。」





死ぬ子供……は言い過ぎかな?訂正するなら、重い病気の子が来る。





「お前、それ本気で言ってる?」





「うん。」






「だとしたらバカだ。大バカ。バーカ!」





「はぁ?」




何なのコイツ……?


人が真面目な話をしてる時に!





「なんで死ぬって分かんだよ。死ぬ時なんて誰にも分かんねーだろ?」





「でも、みんなここでっ!」




みんなここで……死んでいったんだよ?




喉元まで来たこの言葉を、ぐっと飲み込んだ。





「それはそいつらの運命なんだよ。俺達は俺達の運命がある。そうだろ?」





大吾はえばるように言う。