コイツが病院に来てから1ヶ月、私達はいつものようにアイツはボールのリフティング、私は読者。と互いの存在を消しあっていた。





「うぉっ、よしっ、ほっ、とっ、やっ、」





「……」






カーテン越しに入る声が、耳に入る。あまりにもうるさいため本に集中できない……





「1、2、3、4……」





「ねぇ」






「……何?」





ボールの音がしなくなったと思ったら、あきら様に不機嫌な声で語りかける。





「ボールの音、うるさいからやめてくんない?下の人にも迷惑でしょ、ここ病院なんだよ?」





「残念でした。下の人はもういないんだって。それに、看護師さんの許可も貰ってるし。」





「でもうるさい。てか病院でサッカーするとか馬鹿なの?サッカーバカ?」





「……だってしょうがないだろ……。俺、サッカー部のエースだし。」





「それが言い訳?部活で何があるとか知らないけど、迷惑も考えて。」




私はスパッと言い放つと、アイツはいきなり黙り込んだ。




「……俺だって……思いきりサッカー出来んなら……こんなとこいねぇよ……」






「……で?」






「俺だって!思っきりサッカー出来るんなら!!病室なんて…………クソっ!」






コイツは怒鳴るだけ怒鳴っといくと、布団に潜り込み、布団を頭まで被った。






「(何なの……?アイツ?)」