あの日から、僕はあの女を避けた。
あまりにも不甲斐ない自分を知ってしまったからだ。

仕事だけの『ゴミ男』とか言われてきたが、誰にも迷惑を……たぶん掛けず、それなりに生きてきた……と思っていた。

だが、僕の存在自体が、周りを心配させ、迷惑を掛けてきたのか、と思うと……人間を止めたくなった。

「お兄様! どういうことですの! どうして遥香ちゃんを邪険にするのですか!」と家では百合子に詰め寄られ……。

「矢崎課長、貴方、ドSですか! 塩対応にも程があります!」と本家本元真正ドSの竜崎に罵られ……。

そして、あんな新人社員の君島にまで……。

「あれっ? あの日のこと、まだ気にしているんですか? 神崎さんに背負われ……否、引きずられ……とにかく仮眠室に運ばれたことは公然の秘密になっていますから、お気になさらずに」と慰められ……。

屈辱だ。誰が何と言おうと、とにかく、あの女から離れ、自分を取り戻さなねば……仕事に支障が出る!