社内の携帯が、一斉に鳴り始める。
この音は企画部から届くメールの受信音……嫌な予感がする。

『帝(MIKADO)本社諸君に告ぐ。第三回シークレットパーティー開催! 【日時】八月二十二日(土)午後六時~午後九時。【場所】グランドステイKOGO鳳凰の間。【ドレスコード】HAPPY ※参加不参加返信必須』

やはり、と思う。

帝の社長とその一派はイベント好きだ。
このようなパーティーを年数回開催する。それも突然。参加費無料で。
勿論、皆参加する。

僕はこの手のパーティーは苦手だ。
仕事の方がどんなに楽か。

毎回不参加表明しているので、今回も『不参加』ボタンを押そうと指を伸ばした途端、誰かにムンズと手首を握られ阻止される。

「矢崎課長、貴方お忘れ? 今回のパスは許さないから」

ゲッ、竜崎静香!
だが、何故、この女に許可を得なければいけないのだ?

「竜崎課長、参加は任意では?」

僕が属する部署は、社でも花形と言われる海外事業部で、この部には三人の課長がいる。

その中の二人が僕と竜崎だ。
彼女は経営企画課、そして、僕はITシステム戦略課を率いている。