白鳥の後任は三十歳になったばかりの赤城良太。彼は若いが、親会社KOGOが白鳥の代打と指名した男で……言うなれば、エリート中の超エリート。出世街道まっしぐらの男だ。
「赤城課長って、野生的だわ」
「白鳥課長とは違うイケメンよね」
女たちは……否、人間というのは品評会が好きな生き物だ。
赤城の評価は、どうやらトリプルA……最高評価のようだ。
「これで海外事業部も安泰だわ」
何が安泰なのだ? 竜崎の言葉は謎が多過ぎる。
「でも、見かけは細マッチョなのに中身は軽いのよね」
軽く溜息を付くと、竜崎はツンと顎を上げフフンと鼻を鳴らし言う。
「いくら私が魅力的な女だからって、私って婚約者持ちなのよね」
初耳だ。竜崎を相手にできる男がいるんだ……。
「口説いてきたから、そう言って断ろうとしたのよ!」
そこで何故、僕を睨む?
「なのに、舌の根も乾かないうちに、受付のミキちゃんを口説き、人事部の百恵ちゃんを口説き……あの男ぉぉ!」


