悩ましきは猛進女の撃甘プロポーズ


ハン、早くアメリカに行ってしまえ!

「まぁ、変わった、と言うのなら、食事事情が良くなり、少し太った」
「そう言えば、血色が良くなったな」

そこでまた白鳥が怒り出す。

「お前なぁ、帝の社員食堂はKOGOと同じく、イケている、と評判なんだぞ」

知るか! 食べに行く時間も勿体ない、と思うのが僕だ。

「祖父は常々言っている。できる男は食事もしっかり摂る、だ!」

整理整頓の次は、しっかり食事を摂れ! かぁ、『できる男』は大変だ。

「だから、ちゃんと食べろよ。体あっての仕事だ――この言葉はお前への餞別だ」

白鳥はポンと肩を叩き、「今週末、アメリカに渡る」と言う。

「まぁ、そうは言いつつ、再々、戻って来るだろうがな」

KOGOのトップともなると自家用ジェットで世界を飛び回るという。
白鳥には、そっちの方が似合っている。

人には持ち場というものがある。
僕は白鳥とは違う。
狭い部屋の中で、バーチャルな世界を飛び回る方が似合っている。

そして、お互い、無理ない場所で最高の成果を上げ、仕事を成功に導く。
それが企業で戦う仕事戦士……だと思う。

「白鳥」と言いながら、グーの手を突き出す。
「矢崎」と白鳥もグーの手を突き出し、グーとグーを突き合わす。

「グッドラック!」
「グッドラック!」