会社に着き、顔馴染みの守衛に挨拶をし、セキュリティーゲートを抜けると、一基だけ動いているエレベーターに乗り込み八階に向かう。

我が社の勤務体制は親会社KOGOに倣い、部課ごとに基本の九時五時土日休日制かフレックスタイム変形休日制、のどちらかを選択できる。

僕の課は、フレックスタイム変形休日制を取っているが、僕としては二十四時間三百六十五日、会社にいてもいいと思っている。

そんな訳で、昼間ほどではないが、普段は夜でも結構人がいる。
だが……やはりパーティーの夜。当然と言えば当然かもしれないが……。

本当、見事に誰もいない。
不気味なほど静まり返ったフロアーに、点る明かりはオレンジ色の非常灯のみ。

薄暗い廊下を進み、海外事業部のドアにICカードをかざし中に入る。
クーラーは止まっているがムッとする暑さは感じない。
空調が効いているのだろう。

席は課ごとに三つの島に分かれている。
窓①と書かれたスイッチをONすると、その島の一つ、窓側の照明だけが点く。
そこに向かって歩みを進める。

しかし、いつ見ても綺麗なオフィスだ。

帝の社員は、他社からも『できる!』と評判だ。
できる社員は机の上も整然と片付けられている(竜崎談)らしい。

だが、例外もある。
それが雛席の一つである僕の机だ。