「……優羽は?」


「えっ?」


「わたしのこと……好き?」



搾り出すように呟いた光来の顔は、今にも泣き出してしまいそうに瞳に涙を溜めていた。


ぐっと近づいた唇で光来のそれに触れ、今にもあふれ出しそうな気持ちを全部ぶつけてしまいたい……。



俺も好きだって言えばきっと、光来は俺に抱かれてる間は幸せで居られるんだろう。



でも、


「全然。光来のことなんて好きじゃないよ」



今ここで俺の想いを伝えたりしたら、後でもっと光来に辛い思いをさせてしまうって分かってるから。



俺は光来の重荷になんてなりたくない。



楽しい思い出を中途半端に残してしまうくらいなら、無理矢理抱かれた嫌な記憶ごと俺を忘れてしまえばいい。



そしたらきっと。
光来は光来の未来を歩んでいけるから。




……それでも少しだけ。

嫌な記憶でも光来に残したい。


光来の涙を指に絡めながらそんなことを思ってる浅ましい自分が居た。