スーパーにやってきた時点で光来の機嫌が悪くなっていったことはわかっていた。
今日は恋人ごっこ最後の日。
そんな日にこんなスーパーで買い物をしてるシチュエーションは、あまりロマンチックではないのかもしれない。
でも、
「こうやって買い物してたら……新婚さんみたいだね?」
こう囁いた時の光来の表情は満更でもなさそうに赤く紅潮していた。
繋いだ手に身を寄せてくる光来の手を握り返しながら思う。
ホントにそれだけだったら良かったのに……。
落としたじゃがいもが物語っていた。
いつもより一層視界が不自由になっていることを。
ホントならもっと光来の喜ぶことをしてあげたいのに、体がそれを許してくれない苛立ち。
後一日で良い。
今日だけはずっと、光来だけを感じさせて欲しい。

