俺が居なくなったら光来はどうするのか……。


自分のことでいっぱいいっぱいだった俺に、そんなことを考える余裕なんて全くなかった。



兄貴の言葉で急に黙り込んだ俺に、



「俺ら家族の為にも、愛する光来の為にも自分を大切にしろ……未来を諦めたりするな」



いつもの笑顔を浮かべて額を小突いて玄関を後にした。



それがやけにくすぐったいような苛付くような不思議で気持ち悪い感覚。




俺だって諦めずに済むならそうでありたいって思ってる。


サッカーだって続けたいし、光来ともずっと一緒に居たい。



でも、俺にはそんな未来を思い描く勇気なんて持てない。



思い描いた未来に絶望するのが怖い。


立ち上がれなくなる惨めな自分なんて見たくない。




いつにも増してぼやけた視界が俺の未来をどんどん曇らせていくようだった。