今日は朝から目の調子が思わしくなかった。


きっと事情を話してしまえば、早退なり何なり対処はしてくれただろう。


でも。
それをしなかったのは自分で自分の症状を認めたくない意地と、光来ともっと過ごしたいっていう欲の為だった。


おかげで。
今日中に提出するはずだったプリントは白紙のまんま。



……これじゃあ結局光来を迎えにいけないな。



なんて本末転倒で机に突っ伏していた所に、



「優羽?」



心配そうに俺の顔を覗き込む光来の姿があって、思わず笑顔になってしまった。



ペンすら握ろうとしないで机に突っ伏してる俺に見兼ねて問題を解いていく光来は、まるで俺の気持ちを全て察してくれてるみたいだった。



……プリントの字が霞んで見えないってことを。



「さすが光来。俺の彼女だね」


「……よく言うね」


「だってホントでしょ。あと三日は」



右手の薬指の指輪にちょんと触れ、わざとらしく三日の言葉を付け加えた。



あと三日。



それが光来の恋人として居られる時間だって、青白く輝く指輪がそれを強く俺に訴えかけてくるみたいだった。