「なぁ、光来?」



プラネタリウムで初めて感じる隣の体温。



俺の呼びかけに光来が振り向くより早く、肩に頭を預けてじっと満天の星空を見上げていた。


ふわっと香る光来の爽やかなシャンプーの匂いに、俺の鼓動は不安で忙しくなる。



「この星が全部無くなったら……世界中真っ暗になるのかな?」



今目の中にあるのはぼやけて霞んだ星の光。


まだかろうじて見えてるこの輝きも失う日が近い。



「……優羽?」



こんな不安定な気持ちで見つめる星は、今までここで見せてきた俺の心の弱った部分を溶かしだすように柔らかく光ってる。



「……真っ暗か。怖いな」



偽物のお星様だけど、俺には大切な温もり。


一週間の恋人ごっこと同じ。


限られた時間の中で与えられる、俺の大切な温もりの証だ。


自嘲気味に笑った後。

二人の間にある肘掛けに置いていた手を包み込む。



ぎゅっと握り締めた手を、光来はすぐに握り返してくれた。