「……キミは、見えない僕のただ一つの光」


「えっ?」



「生きる希望の光だった」



皮肉にもぼやけた視界で観た映画はまるで今の俺の心を映し出しているかのようだった。


どんなに視界が歪んだって、見えなくなったって……まぶたの裏に残るたくさんの光来はずっと俺の行く未来を照らしてくれている。



今も昔もこの先も……例え傍に居られなくてもずっと。







「でも……なんで置いてったりするんだろ」



また涙腺を緩ませ始めた光来がポツリと呟いた一言は、まるで俺の心を見透かしているようだった。



「身を引いたのは男の優しさだよ」


「それでも……好きな人に置いていかれるなんて悲しい」



俺が居なくなっても光来はそんな風に思ってくれるのかな。

頭を掠めた疑問に思わず自嘲してしまう。




「そうだね。でも」


「でも?」


「置いて行く方もきっと辛いよ。愛してるのに守れないなんて歯痒いからね」



自嘲したまま続けた言葉は紛れも無く俺の本音だった。