「光来(みくる)。大きくなったら俺と結婚しようね?」


「結婚……?」



こう言って小指を絡めた俺の言葉の意味が分からないのか、幼なじみの光来はきょとんとした顔で首を傾げた。



「好きと好き同士がずっと一緒に居る約束」


「ずっとって?」


「俺がおじいちゃんで、光来がおばあちゃんになるまで」




好きな奴同士がじいちゃんとばあちゃんになるまでずっと一緒に居る約束。

そう言って兄貴が教えてくれた結婚の意味。



真っ先に浮かんだのは、誰でもない光来の顔だった。


大好きな光来とずっとずっと一緒に居られるなんて、その時の俺には最高の約束だって思えたから。




笑顔で頷いた光来に笑い返し、そんな日が来るのをずっと夢見ていたんだ……。







っていうのは、遠い昔の話。




無責任なプロポーズをした俺の想いとは裏腹に、俺の体は持ち主の意思を無視して自由を奪おうとしていた。