「光来」


「なに?」


「手術が成功しなかったら……もう光来には会わない」



「えっ……」


「ホントは好きって言うつもり無かったんだ」



……重荷になりたくないから。




優羽が静かに漏らした言葉でわたしの瞳にはまた涙が込み上げ始めた。



「光来……」



「言ったでしょバカ! 好きな人に置いて行かれるなんて悲しいって……」



不意に優羽と観た映画を思い出す。




盲目になった彼は彼女の前から姿を消してしまった。



「でも言っただろ。愛してるのに守れないのは歯痒いって……」



あの時優羽が漏らした言葉は、彼に自分を重ねた本音。



こう言って力無く笑う優羽が頬を伝う涙を払ってくれる。



その優しくて温かい指先を、わたしはギュッと握り締めた。



「守って欲しくなんて無いよ」



彼が彼女を想ってとった行動は、結局残された彼女を深く傷つけてた……。



「わたしは優羽に守られたいんじゃない。ずっと一緒に居たいだけっ」



彼の傍で彼に尽くした彼女はきっと、それだけで幸せだったんだ。



ただ大好きな人の傍で、笑顔が見られるだけで……。