「全然。光来のことなんて好きじゃないよ」




優羽の答えを聞いた瞬間、全身がひどい虚脱感に襲われる。



わたしがずっと大切にしてきた優羽への恋心や、優羽と交わした聖夜の約束。



それらの全てがまるで幻想だったみたいに思えてしまう。



慣れた手つきで優しくわたしに触れていく優羽に力の入らない体を委ねる。



もしかしたら優羽は初めからこうするつもりだったのかもしれない。




そうとは知らずに。



優羽と恋人ごっこの約束をしたあの時から、わたしは心密かに願っていたことがある。




一週間後のクリスマスイブには幼なじみの恋人ごっこが、本物の恋人に変わる聖夜の奇跡を……。




一欠片の愛情も無くわたしの体を抱いてしまう優羽に、悔しさで奥歯をきつく噛み締めた。




優羽と本物の恋人になりたい。




そんなことを願ってしまった自分が歯痒い……。



優羽に抱かれながらずっと、瞳から溢れ出す涙は止まらなかった。