「問い詰めてもしばらく休むの一点張り。新学期にはまた練習試合があるっていうのに」



こう言ってまた溜め息を一つ零す横顔が、



「いつもは来るもの拒まず去るもの追わずの癖に……何考えてるのかしら」



疎ましそうにわたしを睨め付けて踵を返していく。




優羽が何考えてるかなんて……そんなのわたしだってわかんないよ。



ましてや部活を休んでまでわたしと恋人ごっこしてる理由なんてもっとわからない。




マネージャーの言葉がぐるぐると頭の中を巡ってる。



重たく靄がかかったような心で引き返した教室では、



椅子に座ったまま窓のサンにもたれる優羽の後ろ姿があった。



「っ…………」



呼び掛けようとした優羽の名前が喉の奥で止まって出て来ない。



夕日を浴びて佇む背中はわたしを寄せ付けないような……硬い空気を纏ってるみたいだ。



言い知れない不安に煽られる。



優羽……。


こんなにも優羽を遠くに感じたことないよ……。