「こうやってさ、無くなったモノは……いつの間にか忘れられるていくんだな」



ぽつりと呟いた途端、優羽の顔がわたしの肩にギュッと埋められた。



「ずっと見てきた風景も……見なくなればいつか、忘れるてしまうのかな」



「なくならないよ絶対。優羽が忘れたってわたしが覚えてるっ」



優羽がふっと漏らした言葉にわたしは小さな疑問と不安を感じる。



「例え目の前から無くなったって思い出まで無くならないもん」



優羽と一緒に過ごした時間は、わたしの大切な思い出になってわたしの中に根付いてる。



もちろんあのクリスマスの約束だって……。



「それに……一緒に居ればもっと増えていくからっ」



この一週間だってわたしにとっては優羽と過ごした大切な思い出だ。



新しくてすごく大切な……。



「俺も大切だよ」



優羽の声が聞こえた途端重心がぐっと後ろに引き寄せられ、



「ちょっ、ちょっと! 優羽!」



「もちろんこれも。ね、光来?」



頬に柔らかい感触が掠める。



覗き込まれた顔が真っ赤に燃え上がった。




……やっぱり優羽は優羽だ。



ちょっとでも不安に思ってしまった自分に後悔しながら、



頬に残る感触の懐かしさに嬉しくなってる自分が居た。