「何見てるの?」


背後から掛けられた声で、わたしは右手に持っていた指輪を差し出した。



「指輪?」



「うん。これ、昔優羽の家にあったクリスマスツリーのお星さまと同じ色でしょ?」



アクセサリーショップの店先で足を止めたわたしは、青白く光るシルバーの指輪を優羽に差し出した。



「ホントだ。光来が本物の星だって思い込んでたヤツだね」



「優羽だって信じてた癖に……」



もちろんお星さまは優羽がわたしにくれた飾りのこと。



この青白い輝きが珍しくて、本物だって二人とも信じて疑わなかった。



今思えば子どもらしくて笑えちゃうけど、わたしにとっては掛け替えのない大切な思い出。



優羽はきっともう、あの時の約束なんて忘れてるに決まってる……。



手のひらで輝く指輪を見つめながら、そんなことを思っていると、



「あっ、ピッタリだ」


「えっ?」


「ほらっ」



手のひらの指輪はいつの間にか、右手の薬指にすっぽりと収まっていた。