考えても仕方がないことだってわかってる。


色々な女の子と付き合ってきた優羽だって、ちゃんとわかってて好きなのに……。



いざ優羽の隣に居ると嫉妬と欲求で心がいっぱいになる。



胸がぐっと苦しい……。



館内に流れるアナウンスも、視界いっぱいに広がる星空もなんだかちっとも頭の中に入って来ない。



「なぁ、光来?」



不意に優羽の声が耳元に響いた。



振り向いた優羽はいつの間にかわたしの肩に頭を預けて、じっと満天の星空を見つめていた。



ふわっと香る優羽の甘い石鹸の匂いに、わたしの鼓動は急に忙しくなる。



「この星が全部無くなったら……世界中真っ暗になるのかな?」



柄にも無く優羽がセンチメンタルな言葉を零したりするから、



「……優羽?」



わたしはドームに散らばった星を見つめる優羽から目が離せなくなったんだ。



「……真っ暗か。怖いな」



優羽の視線が星から真横のわたしにゆっくりと移される。


自嘲気味に笑った後。

二人の間にある肘掛けに置いていた手が、優羽の手のひらに包まれる。



ぎゅっと握り締められる手を、わたしはすぐに握り返していた。