板チョコを持っていなかった方の手でナイフの柄を掴み、板チョコから手を離した時だった。



「ずっと一緒に居ようね。優羽」



囁いた光来の言葉と共に下ろされたナイフの先で、



"HAPPY WEDDING"



ピンクのチョコペンで書かれた文字が飛び込んできた。




やられたなぁ……。



今日俺がプロポーズするって完全に読まれてたらしい。




兄貴の思惑にまんまとはまったようで釈然としない俺の隣では、



「優羽! はい、あーん」



薬指に指輪を光らせながらフォーク一杯のケーキを差し出す光来が、満面の笑顔で俺を見つめている。