「なんでもいいから考えてほしいな…」


「だからないって。」


「そっか…」


「てゆーか春歌が考えれば?」


 大きく釣り目がちな目を更に釣り上げて言う星奈。

 春歌は困ったように眉を動かした。


「うん…でもこれはみんなで決めようって」


「あっそ。」


 そう言うと星奈は興味なさ気にまたスマホをいじりだした。

 なんとなく部屋の雰囲気が悪くなる。


「あー…と、私クラスに水筒忘れてきちゃった。」


 翼が言うと髪を頭の上でお団子にした小柄な少女もこう続ける。


「私も教室に忘れ物しちゃった。春歌も一緒に行こ!」


「…うん。そうだね。」


 3人が騒がしく外に出てから星奈は大きくため息をついた。

 その様子を隣で見ていたひなたは首を傾げる。


「どうしたの?星奈?」


 星奈はひなたを一瞥すると視線を扉の方に移した。


「あいつほんっとムカつくわ」


「あいつって…春歌の事?」