「そうかい…何か心配事があったら、なんでも相談するんよ?」

嬉しい…涙が出るほど。こんな私なんかに、この人はどうして優しく接してくれるんだろう…。

それだけに、この人に心配はかけられない。決して…。

「じゃあ、おばあちゃん、いってくるね!」

私は努めて明るい笑顔を作り、カバンを持って家を出る。

…私の名前は宮田まこと、16歳。

この街の高校に通っている。

いわゆる普通の女子高生…では、ない

第一に、私には両親がいない。

父親は、私が生まれてすぐに、交通事故で死んだ…らしい。

そして母親は…私が6歳の時に、どこかの男性と一緒に蒸発した。

その時私は1週間あまり、暗い部屋で一人母親の帰りを待ち続けていたが、食べるものもなくなり、フラフラと街に出て徘徊していたところを警察に保護された。