どんとこい背後霊

速度を緩める気配はない。むしろ加速していく

『ちょっと、赤だって!ちょっと!』

交差点で信号待ちしている人々が、異様な眼で私を見つめている

それはそうだろう。髪を振り乱した女子高生が、機関車のように突進してきたのだから。

無理もないな…

あっ!あっあっ!

だめえええっ!

ついに…交差点に突入!

トラックが!バイクが!車が!

当たる当たる!ひかれる!はねられる!

象の雄叫びのように、クラクションの渦が沸き起こる

そんな中を…私は全力疾走のまま、するすると走り抜けていく

何と、まあ、スムーズに…

「すいません、すいません」