どんとこい背後霊

すうう、はああ…

ゆっくりと深呼吸の後、入り口の引き戸をガラガラと開ける

一瞬、水を打ったように静まり返り

クラスメイトたちの視線が、私に集中する

「ああら?宮田さん、どうしたん?
ずぶ濡れやないの?」

「稲垣さんもプールに落ちたんやって?
お気の毒やわあ!」

永原レイカの取り巻きたちが、口々にはやし立てる

「あらあら、大事な防具もびっしょびしょ!どこで見つけたのかなあ?」

ぎゃはははは!

野卑で下品な爆笑の渦

ムラムラと、怒りの炎が燃え上がってくる

押さえられない!

ピキピキピキ…

いっとーさい!やめて!

ダメ、ダメだったら!

レイカは…一人、冷たい笑顔を浮かべ、私を見つめている

私はずぶ濡れの防具袋を教室の後ろに置き

ツカツカと教壇の前へ

クラスメイトたちの方に向き直る