「お邸にお戻りになられたら、鏡でご覧になりませ。とっても、お美しいですよ?」

「もぉ、お世辞が上手いのね、久光は。」

姫君は久光の頭をクシャクシャと撫でた。

「やめてください、やめてくださいな、姫様。」

乱れた髪を結び直して、ふぅ、と溜め息をついた。

「貴女とお会い出来るのも、あと、どれ位でしょうか。」

「え?」

「御簾の内から抜け出したと、女房の珠寿にでもバレましたら、きっと、監視されるのでは?」