「姫は、本来、家族や女としか直接会ってはならないのです。」

(知ってるさ、そんなこと。僕はそんなに、馬鹿ではないのに。)


「久光、久光。」

夜、日が暮れた後、姫は小さな部屋に来た。
呼んだ、あの少年の名は、久光と言った。
姫とは、同い年だった。

「姫様〜。」

久光は「追い出されてしまいました」と、泣きついた。

「よしよし。」

姫は久光の頭を撫でてやった。
久光はニコニコと気持ちよく微笑んでいる。

「ふふ、可愛い。」