2人して言われたので、珠寿は走り去った。

「さて。大君どのが此処に参られる前に、僕は姿を消しますか。では、また、今宵。」

スウッと、久光が跡形なく消えた。

「曼珠!」

大君が姫君の部屋まで足音を立てながら来た。

「何か?」

曼珠沙華と言うのが億劫になった様で、曼珠と呼んだ。

「全く。留守番していたのだから、暇でしょう。人手が足りないのだから、手伝いに参れ。」

「何故私が行かなければならないの。おかしな話だこと。」