姫君や久光が目覚めた頃、門の辺りががやがやと騒がしかった。

「いけないわ。叔父様や叔母様がお帰りなすった。」

姫君は(早くない?)と思いながら、溜め息をついた。

「いったい、何処のお寺に参られたのかね。些か早くはないか?」

久光もそう言う。

「……………珠寿!はやく参りなさい!」

大君の怒声が姫君の部屋まで響いてきた。

「珠寿。お行き。大君には、関わらんで良くてよ。」

「珠寿。」