曼珠沙華 -夢の通路-

-貴方はもう、お邸の主人の若君だった頃の貴方とは違うのです。

乳母の従姉妹は、流石に下仕えの者達とは区別し、そこそこ大きな部屋を与えた。

調度品は自身の邸から持ち出してきたので、この邸にある物と同等に豪華だった。

昔、栄華を誇った大臣の若君たる久光は、身なりだけがよい、召し使い風情に落ちぶれてしまったのである。


「僕は己を卑下しているのではありませんよ。仕方がなかったのです。」