「姫様ったら………………… 」

姫君は美しくないと自分で言っているが、決して、醜くはない。

「御自分でそんなことを仰られては。」

「いいのよ、いいのよ。」

(そんなこと、無いのになぁ。綺麗なのに。)

少年は、御簾の外から、うっとりと聞いていた。


「駄目だよ、お前なんか、本当は姫様の御前な上がってはならないのだから。」

「だってぇ。」

「だって、じゃ、ありません。」

少年は、母親に、叱られていた。