しかし、事態は一切、良くはならなかった。

「父上!」

久光は寝殿に急ぎ、既に虫の息である父君に駆け寄る。

「大事無い………………」

父君は笑ってそう言ったのだが、誰の目にも、空元気にしか見えない。

「父上、元気になられて下さいませ。僕も、待っております故。」

久光は父君の弱々しい手を強く握りしめて、そう言った。

「久光……………」

父君は薄く目を開けて、己の愛息子の顔を見つめた。

「ゴホゴホゴホゴホ!」