「ええっ!そうだったのですか!?本当なの、久光。」

あまりに驚いた珠寿は、勢いよく振り返る。

「姫様がそう仰ってますから。嘘ではないだろう。」

(久光って、若君だったんだ。)

珠寿は、初めて明かされた真実に耳を疑う。

「して、何処の御家なの、久光は。」

珠寿は姫君の顔を見た。
だが、姫君は首を振った。

「それは、私も知らないの。ただ、上流の家だと聞いたの。」

「久光!どうなの!?御家の子なら、分かるわよね?」