「私は知っているけど……………」

久光は大君よりも博学だったのか………と姫は思う。

「どれだけ大君様は愚かな方なのかしら。」

(そう言えば、久光って……………)

大君よりも博学な久光。
甘えん坊だが、優雅な場面もある。

(零落した、旧家の人だったわ。)

その為、家柄は姫君よりも良いのである。

珠寿は大君を「大君様」と呼んでいるが、久光は「大君どの」と呼んでいる。

「しかし、姫様に縫い物をさせようとするなんて、まあ、馬鹿なことを申すのですね。」