(まったく。姫様と同い歳なのに、子供っぽいんだから。)

だが、同時に悲しくもなった。

珠寿は、姫と久光の仲が良いことは知っていた。
互いに初恋の相手なのも、知っていた。

(でも、2人は、結ばれてはならないのだわ。)

姫に擦り寄っている、幽霊の久光は、もう、この世の人間ではないのだから。

(でも、せめて、今だけは。)

報われない2人に、最後に思い出を、と彼女は思う。

「久光。お参りにお行きになった皆様がお帰りになるまでは、居ても構わないわよ。」