女房は、口から出任せを継母君に伝えていた。

「そうなの?まぁ、残念だわ。また、折があれば、一緒に参りたいものです。」

それを女房が大君に伝えると、大君は、「良いザマよ」と呟いた。

「余所者は、引っ込んでればよろしいのよ!」


「では、行ってきます、留守番をよろしくね、珠寿。」

珠寿は姫君のお世話をするため、邸に残った。

実はこの珠寿、彼女等が何処へ出かけるかは、一切聞かされていない。

しかし、半日もすると、「あれ?」と疑問に思う。