「良いこと、あの娘は、琴姫とは呼ばないで。」

「はぁ。では、何とお呼びすればよろしいのやら。」

「-曼珠沙華の君よ。」

「曼珠沙華だなんて、まあ、不吉な。彼岸花のことではありませんか。」

大君は笑って、「良いのよそれで」と答えた。

「あの娘には、それで十分だわ。」