しかし、姫君は本当に袿に鋏をいれる。

「ちょっと、何してるのよ!」

そう怒鳴られても、姫は容赦なく、ズタズタと引き裂く。

「五月蝿い、何をやっているんだ、大君。」

継父君がドスドスと足音をたてて乗り込んでくる。

「居候娘に袿を縫えと言ったら、引き裂き始めましたの。」

大君がそう言うと、姫は鋏を床に置いた。

(腐った女ね。)

と、そんな大君を愚かに見た。