「久光!」

姫君は駆け寄って、久光を起こした。

「大丈夫?ほら、ねぇってば!」

何度呼びかけても、久光は痛みに顔を顰めて苦しみもがいている。

「ひ………………」

無理矢理声を出そうとする久光を、珠寿が、止めた。

「早く止血しないと、久光が死んでしまう!」

「これを、使いなさい!」

姫君は自分の着ていた衵の裾を細く破ると、珠寿に渡す。

「では、失礼して。」

珠寿は久光の切られた部位に、その切れ端をキツく巻き付けた。