久光が駆けつけた時、姫は珠寿と互いに庇い会うよう抱き合って、震えていた。

にやりと笑った盗人が、姫等目掛けて刀を振り落とす。

「やめろォ!!!」

-気づいた頃には、もう、遅かった。

盗人の刀が、久光を裂いた。
紅い血が、辺りに散った。

「久…………」

血だらけになって、久光は姫君の足元に倒れ込んだ。

「まずい、隣人等にも気が付かれた、逃げるぞ!」

仲間の誰かがそう言って、盗人は逃げて行く。